ADHDの「誤診」と「診断」と


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注意欠陥・多動性障害と「誤診」された子ども 100万人の可能性 米研究: AFPBB News
http://www.afpbb.com/i/a/2749278/6088374

「しかし、最年少グループの『問題行動』は、情緒や知性の未発達を反映したものでしかないかもしれない」と、エルダー氏は指摘する。

100万人近くの児童がADHD注意欠陥多動性障害)と誤診か、学年の中で生まれが遅いことが背景に - GIGAZINE
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100819_adhd_or_just_kids_being_kids/

幼稚園や小学校の低学年のころ、4月生まれの子どもは教師の話をよく聞き勉強やスポーツもできる「先生のお気に入り」が多く、3月生まれは逆にクラスのトラブルメーカーで「問題児」的な扱いを受ける場合が多い、と感じたことがある人も多いのではないでしょうか?

メディアの影響もありADHD(注意欠陥・多動性障害)の認知度が高く、ADHDを疑って受診する患者数も多いアメリカでは、現在18歳未満の子ども450万人以上がADHDの診断を受けていますが、そのうち100万人近くが誤診である可能性が高いことが明らかになりました。日本でも取りざたされ始めた感のあるADHDですが、アメリカ同様の誤診が発生する可能性を考えると、決して対岸の火事とは言えないようです。

ADHDと診断された450万人以上の児童のうち、5人に1人は学年の中で生まれが遅いことが原因で、つまり「5歳児が5歳児らしいふるまいをすると6歳のクラスメートと比べ落ち着きがなく見える」ことによりADHDと誤診されている可能性が高いようです。

ミシガン州立大学の経済学者Todd Elder准教授と、ノースカロライナ州立大学などの経済学者Melinda Morrill准教授らにより行われた2つの別々の研究で、「学年の中で生まれが遅いためADHDと誤診されている児童が多数存在する」という共通の結論を導く調査結果が出ています。

Elder准教授の研究では、Early Childhood Longitudinal Study(子どもの発達と幼児教育に関する長期的調査プログラム)から約1万2000人のデータを利用し、幼稚園の同じ学年の中で一番早く生まれた子どもと一番遅く生まれた子どもとの間で、ADHDと診断された子どもの割合や薬物治療を受けている割合を比較しました。

その結果、カットオフ・デート(アメリカでは州により異なりますが、「その日までに5歳になっていないと幼稚園に入れない」という日付、日本でいえば4月1日)に生まれた子どもは、カットオフ・デート直後に生まれた子ども(日本でいう4月2日生まれ)と比べ、ADHDと診断される割合が60%も高かったそうです。また、それらの子どもが8年生(日本でいう中学2年生)になった時点では、同じ学年で1番年少の子供は1番年長の子どもとくらべ、向精神薬を処方されている割合が2倍だったとのこと。

〈みんなの健康Q&A〉 落ち着けない子、片付けられない大人−大人編
http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/06/1006j0820-00002.htm

 ADHDは子どもだけに見られる障害と思われがちですが、実は相当数の大人のADHD患者が存在します。年齢を重ねるにつれて多動などの問題行動は減少する傾向にあるためか、ADHDは過去に、子どもにしか発症しない病気であると考えられていました。成長するにつれて症状が少なくなるのは、問題行動が減ってきたり、患者本人が対処法を身に付けていったりすることから一見、完治したように感じるだけで、多くは完治せずに大人になっているとされています。

 ADHDの子どものうち、大人になっても何らかの症状が続く割合はおよそ40〜80%と言われています。全体からすると、成人の4〜5%はADHDであるとする調査もあります。

Winning with WTF - Die Sendung mit usopopus, und dem Elefanten
http://d.hatena.ne.jp/usopamchi/20100818/1282184498

新自由主義経済とそれが進行する国でADHDがもてはやされるタイミングが大体一緒なわけです*1。特に大人の発達障害、欧米ではとりわけADHDが取りざたされたのは子供のそれから10年ぐらいのタイムラグを経て。フォローアップ研究が理由でそういうことになってしまったんでしょうが。


ADHDが社会問題化しているひとつの理由は失業です。僕の知ってる限り、アメリカとノルウェーの研究ではADHDの人たちの失業率は大体3倍ぐらいになっています


社会的コストや非経済的という話をすれば必ずADHDにいきあたります。ADHDアルコール依存症のリスクファクターであり、ひきこもりのリスクファクターであり、自殺のファクターであり、鬱のファクターであり、医療保険の食いつぶしのファクターであり、失業保険や各種社会保障の引き受け人であり、支払い滞納者のリスクファクターであり、ドロップアウトのファクターなのです。ついでに未婚のファクターのくせに同時に離婚のファクターです。言うまでもなく家庭不和のファクターでもあります。明日にでも保険会社からADHD特約なんかが出てきてもおかしくないわけです。


福祉や障害者支援、集団検診などというものは大体国民国家ファシズムによる総動員体制というか徴兵が本来の目的だったわけです。本人やその周辺の人達を助けたいという思惑と混ざるような形で、時にはそうした「善意」らしきものを都合の良い隠れ蓑として、ADHD(そして他の精神障害)の概念はますます広まっていきます。ADHDの人たちは確かに困っています。しかしなぜ困っているのでしょうか?単純にその特徴の一部があらゆる時代のあらゆる社会においてハンディキャップとなるか重大な問題を引き起こしそうだからでしょうか?ADHDはその研究の黎明期より今日に至るまで、資本主義的総動員体制のために何がなんでも支援されなければならないのでしょう。時代によってそれがヒロポンと何が違うのかわからないアンフェタミンだったり、ロボトミーだったり、入院だったり認知行動療法だったりそれらの組み合わせだったり形は様々です。フーコーが生きていたら、精神病院(心理学)と工場は・・・と言い放つのかもしれません。ドイツにいた頃、ADHDの人たちへの運転免許の発行を制限しようという動きがあるという話も聞きました。ここまで来るとファシズムのズのあたりまで文字がよく見えてきます。


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