「敗北」を抱きしめて〜もしもこの世が弱肉強食ならば〜

もし「この世は弱肉強食の世界だ」という世界観が「正しい」のだとするならば、
勝者必盛、敗者必衰の理こそがこの世の全てであるとするのならば、
敗者だ弱者だ負け組だ負け犬だなどと白眼視で迫害される諸々の人々が、
ただ独り独りと生きていくことを、いったい誰が咎める事ができるというのか。
いったいどのような理屈で咎めだてできると言うのか。
ことにつましく、かくもつつましやかに生きていこうとするそのことのいったいどこに、これ以上の罪科を負わせられる余地があるというのか。
物を捨て、縁を捨て、欲を捨て、ただ生きることを持続し、そしておだやかであろうとする人々に、「誰」が「それ以上」を望ませるのか、いったい「誰」が「それ以上を望め」と言うのか。
「誰」が。
「何のため」に。