ビッグブラザーのパラダイス〜Web2.0はテクノライズされたセカイ系〜

それは本当に確かなものなのだろうか。


ネット上、ブログ上では、すでに一日たりとも欠けずにWeb2.0Web2.0の斉唱、合唱、輪唱が続いている。
しかし、そこにたどり着く、それを具体的につかむための中間項はいったいどこにあるのか。


セカイ系がオタク個人の抱く典型的な独我的未来図だとしてやり玉に挙げられ、さかんに日常へ、現実へというスローガンが叫ばれているその一方で、
なぜ、技術で武装されている(テクノライズされている)だけで、インターネットがもたらす未来図が、具体的であり妄想ではない現実であるとされるのか。
確かに「からっぽの洞窟」ではなかったにせよ、なぜそこで描かれるものがこれからも「バラ色」であると無条件に賛美されているのか。


セカイの言葉を熟知し耳を傾けるものだけが理解することのできるセカイ。それが、Web2.0だ。
――もう、なにを言っているのかさっぱりわからない。


それがよくて、ただの技術オンチの被害妄想に尽きるのだとしても、
悪くして、悪くすれば、
それは、超帝国グーグルゾンインビジブルでエレガントな支配を、ニュースピークでもって受け入れるビッグブラザーのパラダイスになるのではないのか?


それが、Webが1.0から2.0に「変わる」結果だとして、いったいオフラインの世界は今までどうしてきたのか?
大体、Webが「2.0」なら、OFFのバージョンはいったい「何.何」なのか?
目前で、あるいは背後で、さまざまに展開する事物に触れ、影響され、「変わって」きたのではないのか、目を養ってきたのではないのか。


オフライン世界が、技術者サイドの独我的なセカイたるWeb2.0という呪文に小躍りしている様は、ハルマゲドンに魅入られていたかつてのオウムの姿となんら変わりないのではないか?


だとすれば、OFFは永遠にバージョン1.0なのだろうか。
――それとも永遠のβ版なのだろうか。