無意識の心情保守が生み出す『封印される不平等』@孫引き

『封印される不平等』

封印される不平等

封印される不平等

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佐藤俊樹) 最近の不平等の語られ方を見ていると、「上」の人たちが見たくないんだなあと強く感じます。知識や対人コミュニケーション能力、たとえば高学歴ホワイトカラーに要求される「マネジメント力」もこの2つと密接に関係していますが、そういう力で社会的な「上」「下」が決まってしまう、しかもそれらを習得するために必要な勉強や意欲が家庭環境に大きく影響されている。そういう状況になってしまうと、言葉を操る方の人たちにとって、そこに機会の不平等があるとはっきりみとめてしまうと、今の自分の恵まれた状況がまさにその不平等の上に成り立っていると認め、それを是正するように迫られることになります。

これはとてもつらいです。だから、そんな問題はできるだけ認識したくない。「上」になれなかったのは、あなたの努力やあなた自身の力が足りなかったからなんだよ、というふうに処理したくなる。


(斉藤貴男) 自分が恵まれていたから今の自分があるというふうに思いたくない。


佐藤俊樹) そうです。恵まれていたから「上」になれたのだ、と認めるのがつらい。言い換えれば、そう認めるだけの強さを持っていない人、弱い人が多い。状況自体がつらいだけでなく、そのつらさに耐える強さが失われている。それがもう1つの理由です。(p.23-4)
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