2007-04-13 人喰い桜が春に咲く 独白 人生の新しい門出を祝う桜。 だがその最大限の祝福が、なされたとたんそのとたん、 めでたい花弁は風に散り、瞬く間にも剥ぎ取られ、あっという間に消えうせる。 そして新芽が出たその頃に、毒虫の卵を抱きかかえ、 緑の夏にはその葉の下に、雨よあられと毒を降らす。 忘却の秋には枯死した葉をば、塵や芥と撒き散らす。 そうして、そのまま冬にもなれば、枯れ木も同然の黒い影。 これがめでたい日本の花か。 これぞめでたい日本の花か。 人を喰った桜の話。