テロリストは語ることができない

テロリストは語ることができない。
声すら奪われた後、観客に耳をふさがれることによって。
あるいは、テロリストは名無しだ。
すでに固有名を奪われていた人間から、さらに奪えるものなどあるのか。
これ以上、「自由」を奪った所で一体何の抑止になるというのか。
テロリストは殺されてはじめて名前を取り戻せるとでもいうのか。



誰でもない人間が、誰でもない人間を殺したというのなら、この事件に犯人逮捕という「結末」などあり得ない。


asahi.com秋葉原で無差別殺傷 死亡7人、けが10人に - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0608/TKY200806080127.html

そして今日の事件は、もはや先の4月の事件の教訓などカケラの意味も持たないということが証明されたということでもある。

戦慄 無差別殺傷 「警官目前の凶行」: 企画・連載 : 茨城 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ibaraki/feature/mito1207146450433_02/news/20080404-OYT8T01001.htm


 駅周辺の飲食業男性(58)は「事前に情報があれば、一般市民も意識して不審者を見つけ出し、通報することができる。今回の事件を教訓に、警察は地域との協力体制を考え直してみては」と問題提起する。
 警察問題に詳しいジャーナリストの大谷昭宏氏は「情報をいかに共有するかという時代に秘匿捜査は合わない。情報を出さないで自分たちだけで犯人を捕捉しようというのは、30年前の考え方だ」と批判する。

必要なのはいったい「何」の情報なのか。
住民基本台帳番号のGPS発信器を全国民にインプラントし、24時間リアルタイムで行動を監視・管理したとしても、無駄なあがきになるだろう。
それとも、この匿名都市社会に懐かしの五人組や隣組でも復活させるか?
あるいは、右翼団体、民族団体の方々が自警団でも結成してくださるとでもいうのか。



「沈黙」は未だ鳴り止まず。



サイレントテロは拡大している。「語ることができないテロリスト」という形で。




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