河童の宗教

芥川龍之介 河童 どうか Kappa と発音してください。 第十四段より
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僕に宗教というものを思い出させたのはこういうマッグの言葉です。僕はもちろん物質主義者ですから、真面目(まじめ)に宗教を考えたことは一度もなかったのに違いありません。が、この時はトックの死にある感動を受けていたためにいったい河童の宗教はなんであるかと考え出したのです。僕はさっそく学生のラップにこの問題を尋ねてみました。


「それは基督教(キリストきょう)、仏教、モハメット教、拝火教(はいかきょう)なども行なわれています。まず一番勢力のあるものはなんといっても近代教でしょう。生活教とも言いますがね。」(「生活教」という訳語は当たっていないかもしれません。この原語は Quemoocha です。cha は英吉利(イギリス)語の ism という意味に当たるでしょう。quemoo の原形 quemal の訳は単に「生きる」というよりも「飯を食ったり、酒を飲んだり、交合(こうごう)を行なったり」する意味です。)