「脳死=死体」だとする一番ラディカルなA案が簡単に採決された理由

【臓器移植】強力だったA案派の働きかけ  - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/body/090618/bdy0906182309007-n1.htm


 臓器移植法改正案のA案が18日の衆院本会議で、予想をくつがえして100票近い大差で可決された。A案支持の各党衆院議員や、子供を含む国内での移植を待ち望む患者団体、移植学会の強力な働きかけが功を奏した。

 一方、与党や民主党国会対策委員会関係者らが推し、最有力とされていたD案は作戦が裏目に。「他の案が過半数を得られず、最後になだれを打ってD案が可決される」。そんな光景を描き、積極的な働きかけを控えていたD案支持者は、投票結果に驚きの表情を浮かべていた。

 A案提案者の河野太郎衆院議員(自民)は18日、採決直前の衆院本会議場で「A案支持者と、投票先を決めかねている方へのお願い」と題した文書を配り始めた。文書はA4判1枚で「A案はWHO(世界保健機関)が推奨する法案です」「かならず、A案に投票してください。仮にA案が否決された場合、その後の投票は棄権せず、反対票を必ず投じてください」と強く迫っていた。

 「臓器移植患者団体連絡会」は、今月9日、全国紙にA案支持を呼びかける全面広告を掲載。同会や日本移植学会などの関係者が全国から上京し、東京・永田町の衆院議員会館の各議員事務所を何度も回った。患者団体など組織的支援のあるA案のロビー活動は最後まで緩むことがなかった。

 河野氏山内康一衆院議員(自民)は、連日深夜まで議員会館に詰め票読みを行い、迷う議員をしらみつぶしに説得したという。

 17日には、ある議員の事務所に50枚もの賛否を呼びかけるファクスが届いた。だが組織力の差なのか「A案賛成が3倍も多かった」と」という。

 一方、与党や民主党国会対策委員会は、臓器提供を欧米並みに近づけるA案が過半数は得られないと踏んだ。自民党国対がA案提案者のリーダー、中山太郎元外相(自民)らにD案に合流するよう再三要請したのはこのためだ。だが、中山氏らは「D案では臓器移植は増えない」と逆に反発し巻き返した。

 長男の河野太郎氏から生体肝移植を受けた経験を持つ河野洋平衆院議長が改正に前向きだったこともA案派は“活用”した。「引退する議長に花を持たせよう」と情に訴えて歩いた。

 採決が近づくと、新聞やテレビ報道で移植を待つ子供の患者が報道された。衆院選を控える自民党若手は「報道を見てA案に決めた」と語った。

 ただ、採決では異様な光景もあった。笑い声ややじ…。賛成、反対両方の木札を壇上まで持っていき、投票行動をちゃかすような議員がいた。敗れたC案支持の議員は「生死が絡む事案なら震えるほど緊張感が走るはず。深く考えない議員がロビー活動に影響されA案を支持したのでは」と悔しそうに語る。

 A案派の中山氏は本会議後、記者団の前に姿を現した。「これで多くの患者が助けられる。死を待たざるを得ない方も救われる可能性が出てきた」。目を潤ませていた。

【臓器移植】A案可決、原動力は自民党 民主と公明は反対上回る - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090618/plc0906181958015-n1.htm


asahi.com朝日新聞社):首相「世の中固まってない」―移植法A案反対議員の声 - 政治
http://www.asahi.com/politics/update/0619/TKY200906190009.html


臓器移植法改正案、477衆院議員の投票行動は : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090618-OYT1T00848.htm


臓器移植法:「脳死」から8年、身長も伸びた - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/today/news/20090619k0000m040100000c.html


臓器移植法案をめぐる衆議院本会議が終わって - 保坂展人のどこどこ日記
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/5c00f75a2b3efb6e2651ca12c4e130e2


臓器移植法案 A案が衆議院で可決されました。 - 今日の小児科医の日記
http://d.hatena.ne.jp/pediatrics/20090619/1245340672

これがある種の殺人であることをハッキリ理解して投票した議員は何人いたのだろうか。



役に立たない、動かない、声も出せないような「モノ」は、さっさと「死体」として処理して、「臓器資源として有効活用」できるようにしろ、というのは、他人の死を望む厳罰化の流れとも符合する。
それにしても、他人の生存の権利への考慮のない、自分の身内の利益優先で考えられた、一番エゴイスティックなA案が可決されたのは驚いた。
異論があり、議論の余地があり、突然思い出されたかのように採決が急がれたこの議案。
だからこその、折衷的なD案だったと思うのだが。



まあ、自殺者の話をすれば官房長官が「お涙頂戴だ」と一笑に付し、生存の縁に立たされた人間に生活保護を認めない、お国柄を考えれば、実に日本的な判断だったということか。