Twitter=箱庭説 〜遮断されていく情報〜


Twitterは箱庭である。気に入らないものはさっさとリムーブ、ブロックできるどこまでも独りよがりに寄り添ったツールである。

NHK クローズアップ現代 ツイッター
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2928


今日放送のNHK クローズアップ現代ツイッターが特集された。
それによって、ホームページ→ブログ→SNS と徐々に下がってきているネット活動参加への敷居の高さが、さらに引き下げられることになり、Twitter自体の利用者の増加も加速していくことと思う。
なにせ、公的マスコミによって公式に「お披露目」されたのだから、そのお墨付き感、「安心感」は格別である。


番組内では、「人との繋がりができる」や「情報の伝達が速い」などの好意的な情報が多く伝えられ、「ツイッターが社会をどのように変えるか?」という問いは、見る者にほぼ好意的な回答を胸に抱かせる風であった。


このようにNHKでまで取り上げられた=一般化したことで、「小さなトラブル」としてTwitter内での「mixiの犯罪自慢日記」のような現象が加速していくだろうことは想像に難くない。
しかしそれ以上に、Twitterについては語られなくてはならない問題があると感じた。


それが、いわゆる「TL=タイムラインの説明」の問題である。
これまでのTL=タイムラインの説明は、おおよそ「気に入った人をフォローするとその人の発言が自分の所に届く」といったものであり、それによって「良質なコミュニケーション」が可能になると表現されるものである。
確かにそのフォローの関係を軸にして「人との繋がり」や「情報の伝達」がなされるのがTwitterだ。


だが、今のところのTwitterについての、というよりも、TL=タイムラインについてのマスコミの言及にはもう反面が圧倒的に欠けていると思える。
気に入らない情報を目の前から消し去るリムーブ、そして、嫌な相手との関係を断ち切るブロックによってできあがるのがTL=タイムラインだという側面についてである。


Twitterはコミュニケーションツールというよりも、箱庭と言った方がいい。


自分の好みの情報だけがキレイにふるいに掛けられて表示され、自分がまったく知らない領域の情報や関心のない情報は入ってこない。
そして、まさにお気に入りの箱庭のように、嫌いな人や物に関する自分にとって不愉快な情報が、排除されていく。
それによって、一般に言われるTwitterの情報波及力に反して、情報の遮断が加速していく。バイキングレストランで偏食が促進されてしまうのと同じ現象が起きていく。


こうした側面を見た時、「Twitterが社会を変える」という言葉は、かつての「インターネットが社会を変える」という言葉とどう違うのだろうか?と感じてしまう。
この日本の社会の何がどれほど変わったというのだろうか?
なにかいつも「道具」だけが過剰にもてはやされるような風潮が気になる。
それだけ今の社会に閉塞感が強いということだろうか。


しかし、閉塞感を破るためにもてはやされるツールが、結局、居心地のいい箱庭になっていくというのはある種のホラーである。





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