名誉健常者さまたちの宴


こんなシンポジウムがあるらしい。

「障害者運動のバトンを次世代へどうつなぐか?―障害者と社会のこれからを考える―」
http://www.jcil.jp/2014sijpo.html


僕はどうにも関心が持てない。いや、どう関心を持つべきかがわからない。


さすがに、「名誉健常者」の頂点を極めたアノ乙武洋匡をこの場に呼ばないだけの理性は持ち合わせているらしいが、それでもパネリストには、障害者運動界隈ではよく知られた、あるいは知る人ぞ知るきら星のごときスターが連綿と名を連ねている。

尾上浩二(基調講演)
 1960年大阪生まれ。脳性まひ当事者。78年大阪市立大学入学後、障害者解放運動・自立生活運動に出会い、以降大阪青い芝の会事務局長、自立生活センター・ナビ代表などを務める。現在、DPI日本会議事務局長、障害者政策委員会委員。編著に『障害者総合福祉サービス法の展望』(ミネルヴァ書房)。DPI日本会議事務局編として『最初の一歩だ!改正障害者基本法』(解放出版)など。


大野更紗
 1984福島県生まれ。作家。2008年上智大学国語学部卒業。ビルマ(ミャンマー)難民支援や民主化運動に関心を抱き大学院に進学後、自己免疫疾患系の難病(皮膚筋炎、筋膜炎脂肪織炎症候群)を発症。2012年、第5回「(池田晶子記念)わたくし、
つまりNobody賞」受賞。広範な問題関心にもとづき、社会保障や難病の制度改革に対しても精力的に発言中。著書に『困ってるひと』(ポプラ社)、『さらさらさん』(ポプラ社)など。


熊谷晋一郎
 1977年山口県生まれ。新生児仮死の後遺症で、脳性まひに。以後車いす生活となる。東京大学医学部卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、東京大学先端科
学技術研究センター特任講師、小児科医。著書に『リハビリの夜』(医学書院、第9回新潮ドキュメント賞受賞)、『ひとりで苦しまないための「痛みの哲学」』(青土社)など。


泉浩
 1964年福井県生まれ。幼少時の黄疸で脳性まひとなる。91年日本自立生活センター前代表・故長橋榮一に出会い、薫陶を受ける。現在、日本自立生活センター自立支援事業所管理者。京都市の24時間介護保障の実現に尽力。多くの自立障害者のサポートをするとともに、ALS、重度知的障害者の支援などにも関わる。


やれやれだ、まったくめまいがする。思わずウエッっと吐きそうだ。


もうこの時点で、なにがしかの慰謝料と治療費を請求しても罰は当たらないような気がするのは僕だけですかそうですか。


何が悲しゅうてこんなお歴々からのご高説、薫陶、ご指導ご鞭撻を、しかも有料で受けなきゃならんのか。プレカリアートなめんな。


ああ、「有名人」が好きな人が多いから、ですかそうですか、さよですか。


まあ、主催者側が「名誉健常者さまたちを持ち出さなければならない」と考える気持ちもわからなくはない。


事実、実態、事情が「どうあれ」、ただでさえ「運動アレルギー」が蔓延したこの日本国社会の中で、どんなシンポジウムを開いたところでは、そうでもしなければ、客寄せパンダ効果すら見込めないのは火を見るよりも明らかだからだ。


またぞろ「人間のくず」が当選した先の東京都知事選で、細川護煕*1が、小泉純一郎*2と組んだように。




主題がこうあるだけに、課題と危機感は十分に持ち合わせているのだろう。

「障害者運動のバトンを次世代へどうつなぐか?―障害者と社会のこれからを考える―」


ツイッターでも指摘を受けたように、このような「運動」に関わりのない、興味のない、知る余地もない「普通の障害者」にどうやって、「運動」の歴史や推移、蓄積や力を継承していくのか、それらの果実を半ば「当然のモノ」として享受している「ぬるい障害者達」とどうやって連携していくのか、というのは確かに一大課題だ。


まあ、誰が、何を、どう、線引きをして「普通の障害者」なのかというところこそが最大の課題なわけで、どこにどう問うてみたところで、十人十色の百人百説が帰ってくるだけだろうが、まあさっき言った「運動の成果を無自覚に享受しているぬるい障害者」と言うのがさしあたり当てはまるところだろうか。


曲がりなりにも、「バリアフリー」だの「ユニバーサルデザイン」だの「合理的配慮」だのといった概念がふわふわとつかみ所のない雲のように、それこそ「普通の人々」が手にかけ、口にし、掲げ、漂うところまでは来たこの日本社会。


その中で、一方では、「障害者」は文字通り死の淵へ追いやられている。


このままで行けば、少子化・晩婚化・晩産化の影響で、障害児自体の割合は増えていく一方となるはずで、高齢化によって医療や福祉やケアの問題が<クローズアップ現代>されるようになったのと同様に、ごくごく近い未来に、増え続ける障害児、障害者の人口比率とその社会的受容という課題が<クローズアップ現代>されるはず、だった。


ところがギッチョン、待遇悪化というレベルなんてもんじゃなく、「障害者」は社会から一掃されようとしている。またぞろ文字通りのノーベル賞級の医療科学の進歩によって成し遂げられようとしている優生保護的な社会の「完成」によって。


IPS細胞万歳、天皇陛下万歳ですね、安倍総理*3


「遺伝子プール」なんて凍結精子卵子を売買すれば、十分担保されますもんね!


ああ、ついでに言っておくと、「精神障害者」はこういった「運動」の「障害者福祉」やら「権利」やらの枠組みに入ってませんから念のため。




だいたいこんな感じのお話をお聞かせ願えるんじゃないでしょうかね?


あれ?やっぱ行かない方に気持ちが傾いてきましたよ気のせいかな?


と言うか行く必要なくね?






とまあ、エラソウなことをぶーたれるなら何か言え、といわれたら、「日常へ帰れ」というテーゼが一つ浮かぶ。各自、各々それぞれ異なる「自分の日常」へ。


よい子のみなさん、「仮面社畜」の精神も、元をたどればガンジーの「非暴力不服従」ですよ。(?)




だからみんな、








サイレントテロやろうぜ。*4




<IPS細胞と言えば>

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<まあ、こんな本もあるってことで>

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困ってるひと
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*1:ATOKで一発変換できた

*2:死ねばいいのに

*3:死ね

*4:投げっぱなしジャーマン