「オタク中核派」問答〜レッツ！コンバインという「正義」の怪しさ〜
■ [文系文化]現在のオタクにとっての中核雑誌って何だろう？【雑誌文化圏】
別に、ダイラガーファイティングフォーメーションでも、六神合体でも、五つの力を一つに合わせてでも、ファイナルトゥギャザーでも、Vモード軸合わせでも、スーパーリンクでも、フェードインでも、ブライシンクロン・マキシマムでも、なんでもいいんですが。*1
が、
しかし、「オタクを一つにまとめること」が、それほど重要なのだろうか。
もちろん「問題」、すなわち、その違和感の源泉は、その「主語」にあるのであって、その主語とはつまり「雑誌という資本が」というものである。
私などは、今に至るまでまっとうに雑誌を購読したことなんか無いという実に出版社泣かせ（？）なオタクなわけですが。だからこそというのでもないが、オタクとはそもそも「雑誌ごとき」に吸引される＝コンダクトされるものなのだろうか。
ここには、いわゆる「サブカル」への反感の問題、そして当の「サブカル」内部にも存在する「ある種の差異化意識」の中身の問題とも絡んでいるのだが、さしあたって、オタクの行動原理、オタク的志向の側面から考えてみたい。
端的にいってしまえば、中心を持たない拡散深化志向こそが「オタク」なのではないだろうか。
今のオタク――オタク現象は「分裂」しているのではなく、そもそもが「総称」であったのだから、それを一つに合わせて「正義」に昇華しようとする試みこそが、オタク志向のベクトルとして間違ったモノだといえるのではないだろうか。
もちろん、商売の方向性としてはそれはなんら間違いではない、むしろオイシイくらいだろう。*2
しかし、それが単に「オタクどもの財布を広く浅く漏れなく掠め取ってやろう」という利益追求を求めての提案なのではなく、オタクという現象に少なからずシンパシーを抱き、そこでこそ、かくも多様化、拡散化した状況において一つの方向性を提示しよう、「未来」を切り開こうという、ある種「崇高な目的」を持ってのことだとしたら……
……それはやはり間違いであろう。
オタク現象の中にあるものはすべてが周辺的であり、周辺的であることがその位置を確定している。
相対的、つまり相対的ということか。オタクとは相対的であるからこそオタクでありえている。
これは文化相対主義の究極層がミクロ的レベル*3で実現していた、ということなのだろうか。
ならば、それを誰かアカデミストが「発見」するのなら、それは社会学者ではなく、文化人類学者なのではないだろうか。
まあ、両者にいかほどの明確な差異があるかはもはや不明なのだが。
であるならば、
たとえ、何者かが意図的にオタクの「中核」を標榜したところで、それは瞬く間にオタク自身の――オタクという集合体総体の意思（？）に基づく――まなざしによって「周辺化」され、彼我の差異を持たない相対的現象となるのだろう。
もちろん、「オタク深度」の如何によっては、その評価も高まろうというものだ。が、そもそもここで意図される「中核」的志向とはナンなのだろうか。
オタクをどうコンダクトすることを意図しているのだろうか。
どのようなものを「オタク」として捉え、どのような「オタク」を、どのようにコンダクトする構想なのだろうか。
オタク論壇が、世代別あるいは派閥別に「島宇宙化」していることは既に知られている。その「断絶」がなにに起因するのかさえ突き詰められていない、そしてその接点が模索されているかどうかもわからない状況で、今ここで「中核」を標榜することはカナリ恥ずかしいことになるのではないのだろうか。
少なくとも、そう、それこそ「中核派」という名の島宇宙がひとつ、オタクの海に浮き上がるだけなんじゃないだろうか。
まあ、にしてもだ、これは卑怯な文章だ。なぜって「出来ない」という方が簡単だからだ。
だがもちろん頭ごなしにムリムリムリ……、といったつもりは無く、それなりの観測を経た上で「どうなん？」という疑問を呈したわけですが。
にしてもいやな文章だな。
ちなみに、
かのトラックバック先の文章は、
■ [another view]「奈良幼女誘拐殺人事件」という物語
上記のブログのコメント欄に端を発しているらしい。
で、よくよむと、このエントリを書かなくても大体同じようなことが、TRiCKFiSH氏が既にいっていて、ああ、書かんでも良かったかも、と思ったり思わなかったり。
さらに、そのコメント欄で異彩を放っていたのが、一見、厨房的（失礼！）にも見える yasaikyo氏の発言。
オタクの生存権確保のために、ロビー活動といういわゆる政治的なパワーのダークサイドを獲得し、それを活用すべきというその発言は、まさに「世間の真理」の一面を突くものに見え、……ある種「魅力的」だ。
