21世紀の公害 ――「美しい日本」の「伝統」――

高度成長期の最中にすでにアスベストの危険性が指摘されていたことが、改めて明らかとなり、

アスベスト公害の恐れ、旧労働省が71年に指摘
作業現場でのアスベスト石綿)の飛散防止を盛り込んだ「特定化学物質等障害予防規則(特化則)」が施行された1971年、旧労働省が職員や業者向けに出版した特化則の解説書の中で、アスベスト飛散が労災だけでなく、公害問題に発展する可能性があると指摘していたことが21日、分かった。
(中略)
環境庁アスベストの吹き付け作業が全面禁止となってから2年後の77年、大気中のアスベスト濃度測定を開始。規制も検討したが、「一般国民にとってのリスクは著しく小さい」として、公害対策としての規制措置は見送られた

にもかかわらず、バブル崩壊以後においても企業利益を優先し、国民の健康をないがしろにしていた、政府与党。

アスベスト:規制法案に業界抵抗 審議せず廃案 92年
アスベスト石綿)の原則使用禁止を定めた「アスベスト規制法案」が92年、議員立法で国会に提出されたが、提出前に業界団体の日本石綿協会が「健康障害は起こり得ないと確信できる」などとした見解を文書で政党と省庁に配り、自民党などの反対で一度も審議されないまま廃案になっていたことが15日、分かった。(中略)文書は「一般環境においては石綿による健康問題は発生していない」と強調。危険性を軽視した業界の“圧力”が規制の遅れにつながった可能性が出てきた。


しかしその一方で、「お国」の側の人間にだけはしっかりと対策を取っていたという、この不道徳で非道な二枚舌。

石綿不使用、87年に方針・官舎など国の建造物
アスベスト石綿)の健康被害問題で、旧建設省(現国土交通省)が各省庁の庁舎や公務員宿舎など国有建物の「(建材の)非石綿化を進める」方針を1987年9月に決定していたことが29日、わかった。石綿の一般使用が原則全面禁止されたのは昨年10月
(中略)
国有建物の「非石綿化」方針は18年前の段階で省庁が石綿の危険性を認識していたことを裏付けており、抜本対策に踏み切らなかった当時の政府の対応に批判が集まりそうだ。


これほどまでに国民を愛さない国が、国民に対して無条件の、そして国家の無謬性を奉ずる「愛国心」を求めるなど、おこがましいにも程がある。