成長した企業が消費者をなめるのが企業の伝統=正義

ガ島通信 - ユーザーのおかげで成長した企業がユーザーを忘れる
http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20071002/1191325559#seemore


別にIT企業に限ったことではなく、日本の、いや世界のすべての企業体質において成長した企業というのは消費者=顧客をなめてかかり、小馬鹿にした態度をとり、そして利益利潤を水増ししようとします。


「手抜き」の伝統と言ってもいいでしょう。


何より一番わかりやすいのが、外食産業です。
少し味覚が敏感な人間ならすぐにでもわかることです。
新しくできたお店が売れ始めたとたん、景気がよさそうになったとたん、ガックリと味が落ちるなんてことはあくびが出るほどよくあることです。


たとえば関西圏の駅構内では、最初は「キヨスクにも使えないし倉庫として使うにも狭すぎる死んだスペースの苦肉の活用作」として始まった「ジューサーバー」という立ち飲みのフルーツジュース屋があります。
ミックスジュースが看板商品の、オレンジ色を貴重としたかなり目立つお店です。
フルーツをそのまま使ったジュースは確かにおいしく、また最近では覚えられないほどのバリエーションも増え、アイスクリームまで売り始めたほど、この店は売れに売れています。
しかし、つい最近味を確認したところ、できた当初にミックスジュースをよく飲んでいたものからすれば、その違いは歴然でした。
明らかに一味抜けているのです。
それも一番肝になる味が。
開店当初の味は3種4種のフルーツの味が舌の上で確かに感じられる絶妙の品だったものが、いまではミルクとバナナの味しかしないようなのっぺりとした締まらない味になっています。
もちろん値段は同じです。
一工夫、二工夫コストを抜いた分、儲けは格段に上がっていることでしょう。



また、ご近所的な例で言えば、おいしいシュークリームが地元で有名なケーキ屋があるのですが、そこのシュークリームも開店した当初のサイズと、店が繁盛し隣を買い取ってイートインスペースをつくるようになった今のサイズとでは明らかに違いがあります。
当然、大きくなったなどということはありません。小さくなったのです。
もちろん値段は同じです。
一サイズ、二サイズ材料を減らした分、儲けは格段に上がっていることでしょう。


ガ島通信さんは

ミクシィも有名になって社員が勘違いしてしまったのでしょうか(会社のメッセージを伝える広報も非常に評判が悪い)。人は勘違いするものですし、自分自身もそうなりがちなので他山の石としなければなりませんが、たった数年間でユーザー視点が失われたとすれば悲しいことです。ユーザーに大きくしてもらった企業がユーザーのことを忘れてしまえば終わりなのではないでしょうか。

と、真摯に嘆いておられますが、それが「日本の伝統」に照らして「正しい態度」なのですから、誰もそれを反省するなどということはないでしょう。
最初の客を忘れても、その賑わいに釣られて後からくる客の方が多いのですから、企業は最初の客のことなど絶対に省みる必要などないのです。




――「おめでたい奴はどんどん生まれてくる」P.T.バーナム(アメリカの興行師)の言葉




<追記>
リンク先の記事を読んで初めてmixiのデザイン変更に気づいたわけなのですが、これでも割と初期からのユーザーです。
でも、ぜんぜんハマリもしませんでしたし、いまでもほとんど利用していないので、おまけにこのブログでは「mixiの正体はアムウェイだ!」とか言っちゃって無駄に盛り上がるコメント欄を作ったりもしています。
さて、せっかくなのでそのデザイン変更の印象をひとことでまとめてみると、
「さらに瞬間的になったな」
というものです。
今まででも十分小さく押し込められていた文字情報というものが、さらにスペースを圧縮され、一部は丸ごと写真に置き換わり、日記やレビューも最新の一件しか表示されないようになったのが今回のデザイン変更です。
脊髄反射的な垂れ流しの寝言ポエムの巣窟として繁栄し、集客数を誇っていたのがmixiなわけですが、今回のデザイン変更で、その傾向をさらに環境的に後押ししようという意図が読み取れます。
つまり、「知らない・読まない・考えない」の三拍子で使い続けている人間に特化した形に変化したというわけです。
これは時間をかけて文章を書き、その反応に対してまた時間をかけるといった不思議空間はてな村とはまさに対極をなす状況です。
肝は、「使い続けている人間のため」という点です。
なぜ、日記やレビューが最新のものしかないのか?
それは、毎日毎時間「mixiチェック」をし文字通りmixiにハマり込んでいるような人間を「ユーザーの標準形」として考えているからにほかなりません。
そうした「正しいユーザー」にとっては、さっき見たものを、昨日見たものを、何度もまた見る必要はまったくないわけです。
今回のデザイン変更というのは、
常に新しいものを、毎日新しいものだけを追いかけていけばいいし、追いかけているのが普通であると、そういった態度を、利用形態を「正しい」ものとして、mixi本体が公式化したということなのです。