未来のチベット暴動裁判――沖縄集団自決訴訟における旧日本兵の敗因

asahi.com:軍関与を司法明言 元隊長、悔しい表情 沖縄ノート判決 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0328/OSK200803280051.html


日本兵が全面敗訴した理由とはなにか。


沖縄が日本の植民地であり、日本が沖縄の宗主国であるという基本的な事実認識を欠いていたこと。
それが敗因のすべてである。


最初から、これは「個別独立の個人の名誉の問題」として提訴できるような性格の問題ではないのだ。
それは、はからずしも旧日本兵の「味方」が自ら暴露している。
文部科学省がこの「たった一事例」の裁判をもって教科書記述を削除した、まさにそのことである。


この判決を「ただの一部隊の一個人の名誉の問題」という争点を無視した拡大解釈だというのなら、先にこの裁判を利用して政治的に拡大解釈したのは誰なのかということである。


そして、この事件について、軍事力・武装権力・暴力を背景にした有形無形の政治的抑圧などは存在しなかった、「沖縄県民が勝手に思い込みで自殺を選んだのだ」というのなら、
チベットで起きている事件についても、それがチベット発展を支えてきた中国漢民族の恩を仇で返す「ダライ集団の策略、扇動」だという主張を同じ口で肯定しなければならない。
そして、ゆくゆくは今まさに起きている事件を記憶の彼方へ追いやり、「美しいチベット」を開発発展させていくことこそが「政治的に正しい」態度だと認めなければならない。


北海道・沖縄開発庁はなぜ存在していたのか。
現在も、沖縄・北方担当大臣というポストがなぜ存在しているのか。
漢民族支配のためのチベット開発」が許せないというのなら、「シャモ支配・ヤマトンチュ支配のための開発」が許せるのはなぜなのか。
イスラエルパレスチナ地域入植」が許せないというのなら、「シャモ支配・ヤマトンチュ支配のための開発」が許せるのはなぜなのか。


忘れたからである。
そのことを忘れるように国民が洗脳されてきたからである。
洗脳を洗脳とも思わず、「正しい歴史」を「素直に学ぶ」ことを続けてきたからである。
北海道、沖縄に住んでいないからという理由で。


事件の政治的背後関係も考慮せずに単なる自分の個人の問題だとヒステリーを起こし、無自覚に無神経さを発揮したあげくに、肥大した自意識を国に直結し政治判断を左右しようというその傲慢な態度。
植民地差別を無視と無関心という究極の差別で塗り固め、問題をなかったことにして自分だけは「美しく」あろうとするその醜い態度。


まさに耄碌した老害の極み。


一目散にわき目もふらず速やかに「美しい」伝統に殉じて腹かっさいばいて死ねばいいのに。

<関連:保守系社説への批評>
主語をあいまいにした読売新聞社説の欺瞞 - Apes! Not Monkeys! はてな別館
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20080329/p1


【産経主張】沖縄集団自決訴訟 論点をずらした判決批判だ:イザ!
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/526412