カンボジア経済の格差と韓国人の人権感覚の貧困

あえて言おう、雇用という上下関係を傘にきた、差別的、搾取的処遇の結果であると。

韓国人の子女誘拐を計画=雇用主に殴られて立腹−カンボジア学校人質事件の主犯格
シエムレアプカンボジア北西部)17日時事】カンボジアシエムレアプの国際学校人質立てこもり事件で、逮捕された武装集団の主犯格の男が、雇い主の韓国人に殴られたことに腹を立て、この韓国人の子供を誘拐して身代金を奪う目的で学校に押し入った疑いが強いことが17日、現地警察当局の調べで分かった。韓国人の子供らは、男らが学校に押し入った際、別の建物にいたため無事だったという。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050618-00000003-jij-int


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東南アジア圏の経済は、華僑に握られていることはすでに知られている事実ですが、その実態はカンボジアも例外ではありません。
カンボジア経済の主要な部分は、タイやマレーシア、インドネシアベトナムといった周辺各国の外国資本に握られ、カンボジア現地の人々の中でまともに稼ぐことのできる人はホンの一握りという状況です。
そういったカンボジア経済の「歪み」が現れたのが、今回の事件であったといえるでしょう。


華僑がカンボジア経済を握るカラクリの一つを明かしましょう。
その鍵となるのが「地雷」です。


もちろん、華僑が地雷を売りさばくなどという話ではありません。
元々、力のある華僑資本が、国連主導の地雷撤去活動の予定情報を「事前に手に入れ」、地雷の埋まった土地を安い価格で買い叩き、そして、その後すぐに地雷が撤去された安全な土地をホテルやレストランといった事業に利用する。
こうして、カンボジアの土地は次々とカンボジア国民の手から、華僑資本の手に奪われていっているというのが現状です。
そこでは、カンボジア国民は、華僑資本の下で低賃金労働者として雇用されるしかありません。こうして、経済格差――希望格差が広がってゆきます。


また、韓国人の、他のアジア人に対する人種差別感も、今回の事件の引き金になったことははっきりしています。
海外へゆく韓国人団体旅行客のマナーの悪さは、洋の東西を問わず音に聞くところです。
韓国は日本の悪いところばかり後追いしている、そんな気がしてなりません。相手に聞こえる距離で、黒人差別発言を大声で口に出すなどの話もあります。
今回の事件でも、雇用者――運転手という弱い立場にあるカンボジア人を殴りつけていた、という背景があったといいます。もちろん、普通の雇用関係であってもそのような暴力は許されるものではありませんが、カンボジアにおける経済格差を背景にした上で、さらに人種差別的な態度を取られたこと――暴力をふるわれたことが、怨恨を生んだことは想像に難くありません。
犯人が、「韓国人の子弟を狙った」とはっきり言っているところからもそれは明らかです。


さらに、カンボジアでこのような強盗といった手段に訴えることができる背景としては、やはり先の内戦の爪跡であるといえます。
いや、先の経済格差を生んだ根源も、同じく先のポルポト派による非道な虐殺が横行した内戦です。
いまだに銃弾が装填された自動小銃を小脇に抱えた警官が街頭に立っているというほど、それほど銃が簡単に手に入ってしまう。それが、カンボジアの不幸な現状です。


罪は罪、それに対する罰は罰です。
しかし、一人の力では止めようのない格差――その進行の存在があり、そこに差別という引き金が引かれたときに、誰が今回の犯罪を止めることができたのか――という問題は、指摘できると思います。


<追記>
各マスコミによる事件の報道の違いと韓国人の人権感覚について
   ↓
http://d.hatena.ne.jp/boutarou/20050617