「この物語はフィクションであり、実在の人物とは関係ありません」

現代オタクの基礎知識に、また新たな一ページが刻まれた。
クロマティ氏側が取り下げ 「無関係」字幕条件に

クロマティ氏側は、映画の冒頭で実在の人名とは無関係との字幕を追加することで合意、仮処分申請を取り下げた。

つまりこれからは、スポーツ選手や文化人、政治家をもじったようなタイトルやキャラクター名を使用する際には、媒体の如何を問わず、必ずその作品の冒頭に、


「この物語はフィクションであり、実在の人物とは関係ありません」


という、テロップないしは注意コピーを入れなければならないのだ。




え?そんなのもうとっくにやってるって?
確かにそうです。そして、それもまた現代オタクの基礎知識の一つを試される場なのでもあります。

通称:ドルゲ事件
 特撮番組『超人バロム1』放送当時、ドルゲという名のドイツ人少年が悪者と同じ名前のためにいじめられ、その両親が原作者や制作会社にクレームをつけた事件。その結果、オープニングのラストに「この番組に登場するドルゲは架空のもので実在の人物とは関係ありません、云々」というテロップが挿入されるようになった。

これが今、特撮に限らず、すべてのドラマのOPないしEDに入れられる、一見して過剰に過ぎる念押しにも見えるあのテロップのそもそもの成り立ちなのです。
さあ、これからあのテロップをご覧になる際には、友人と腕を組んでご覧ください。頭の横くらいに上げるのがポイントです。*1




しかし、今回のクロマティ氏の空気読めなさ具合人権侵害への異議申し立ては徹底しています。

ただ、名前が原作漫画や映画で使用されることを許諾したわけではなく、今後正式な民事訴訟を起こして争うとしている。

これはもはや、紙、つまりマンガであっても、過剰な注意書が不可欠になるのみならず、下手をすれば訴えられてしまうというリスクがでてくるという前例が出来てしまぅたということです。
これは、かの松文館裁判や、先の鹿砦社社長逮捕事件に並ぶ、表現の自由にも関わる重大な危機、そして「問題」提起であることは確かです。


もしかすると、近い将来『魁!クロマティ高校』は、中田英寿が愛読しているとか、ミスチルの桜井が愛読しているとか、そんな瑣末な理由をさておいて、これで名実ともに、入手困難なマニア好みのサブカルマンガになってしまうのかもしれません。




ただ、今の時点で確かなのは、
石原慎太郎東京都知事閣下は意外に寛容なのだなぁ〜、
ということだぼっ!!*2

*1:ロームクロース!!

*2:意味がわかりたければ今すぐに『阿弖流為2世』ISBN:4091580319