X歳になるまでにやってきたYの事柄

「X歳になるまでにやっておくべきYの事柄」というのが、どうにもマイナス試考の産物のような気がするのは、頭のオカシイ、要領の悪い、ついでに効率の波からこぼれ落ちた私だけなのか。


チェック項目が50だろうが100だろうが、どちらにせよ減点方式であることは間違いなく、結果として、自らの手で自信を傷つけていく行為なんじゃないのだろうか。


『雑誌』としては、もちろんそれが狙いなのだろうけど。
だって、「読者が不幸じゃないと商売成り立たない」のですもの。


いかに「あなた」が不幸で、物足りていない、満ち足りていないかということを、手練手管で練りこんでくるのが、商業雑誌というもの。
そして、「幸いにも」これまで不幸に気づかなかった読者に対して、「いいやあなたも不幸なハズだ!」と畳み掛けるのがこの手の百条チェックシステムということだ。


人はそんなに病みたいってのか?違うだろう。


傷ついた心を物で癒してくれないと、物で癒すことを「自然」としてくれないと、「誰か」が困るからそういうのだ。


「やておくべき事柄」が、そもそもマス相手のアイデアだから教条的な紋切り型になるのも理の当然だが、本当にそのチェックを以って自信につなげようとするなら、「X歳になるまでにやってきたYの事柄」を一人一人が考えていく、という方が、よほど前向きで着実で健全なベクトルなのではないだろうか。


まさに完全加点方式の全肯定のプロセス。
――これぞユニバース!ユニバース!!


「万人が通るべきだ」「これが普遍なのだ」と提示されることで「やってこれなかったこと」という取り戻せない過失を、傷を受けるより、まさに他の誰にも経験の不可能だった事柄を、自分だけが知っている経験を積み上げていこう、いくつでも積み上げていこうとするほうが、
間違いなく、「あなた」のためになるハズだ。