北じゃなく、今、日本にある核問題〜自壊する地域ブランド〜

余呉町とは、滋賀県北部に位置する町です。
リンク先の地図を見れば一見してわかる様に、まさに琵琶湖の源流というべき所です。
余呉町 - Wikipedia
そして、今この余呉町で、核問題が持ち上がっています。
もちろん、政府の最重要機密施設が存在するために北のミサイルのターゲットになっている、なんて話ではありません。
海の向こうの「北の愚かな独裁者の問題」などではない、日本の中の「地域住民の問題」としての核の問題が、そこにあるのです。
それが「高レベル放射性廃棄物処理施設」の建設問題です。



asahi.com: 放射性廃棄物の最終処分場、誘致を表明 滋賀・余呉町?-?関西
京都新聞電子版:放射性廃棄物処分場、応募再検討へ 余呉町長、「断念」を転換
リバーリバイバル研究所:巡り合わせ。核廃棄物処理
水源を危険にさらす/高レベル放射性廃棄物処分場/共産党が討論会/滋賀
天地の唄 〜高時川源流のおいしいお米


さまざまな要因と問題が示されていますが、端的に言って、もし余呉町がこの「高レベル放射性廃棄物処理施設」を建設したとしたら、ほかの一切の要素は吹っ飛び、「核の村」としてだけ知られることになることは想像に難くありません。
そして町長は、琵琶湖の水源を汚し、近畿1400万の水がめを危機にさらした悪名を未来永劫残すこととなるでしょう。
ましてや、余呉町付近の琵琶湖西岸には、琵琶湖西岸断層と花折断層という二つの断層が走っているのです。地下埋没処理には、直近の断層型地震に対して何の保障もあったものではありません。
滋賀県 活断層による地震
大輪建設株式会社|地震 他人事ではない滋賀県の地震は?


また、

最終処分場は、原子力発電環境整備機構(原環機構)が2002年12月に全国の自治体から公募を開始。しかし、県や住民の反対で正式に応募した自治体はない。このため、経済産業省は文献調査に伴う交付金を年間10億円に引き上げる方針を打ち出している。
<リバーリバイバル研究所:巡り合わせ。核廃棄物処理より>

などの様子を見るに、「核の村」として知られる青森県六ヶ所村ですら受け入れていない「高レベル放射性廃棄物処理施設」を、カネに困った過疎地域に押し付けようという経済産業省の意図は見え見えです。
それに乗っかってしまう町長の姿勢はやはり安易安直のそしりは免れないでしょう。
「お国のため」という詭弁を弄したところで、補助金という「麻薬」に手を出そうとするのは、自らの政治手腕の無さ、構想力の無さを証明しているに等しいものです。
関連:高知新聞ニュース■核廃棄物施設に否定的 橋本知事 国の手法を問題視■



なぜ、その環境を、特性を、地の利を活かして、再生しようという気にならないのか。
地域ブランドを立ち上げ、新しい余呉をプロデュースするという方向に発想が向かないのか。
疑問というよりほかありません。


なぜなら、山奥の少子高齢化した過疎の村が、自ら地域ブランドを立ち上げて見事に成功した前例が二つもあるからです。


それが、もはや地域ブランドのプロデュースの成功例といえば、やはり、というほどに有名になった、高知県馬路村と徳島県上勝町です。
上勝町 - Wikipedia
馬路村 - Wikipedia
四国視察 馬路村と上勝町
過疎市町村における情報化施策の先進事例−徳島県上勝町


上勝町・馬路村いずれの町村も、まぎれもなく高齢化の進む過疎地域です。上勝町(人口約2000人)に比べても2倍、馬路村(人口約1000人)に比べれば4倍の人口を持つ余呉町(人口約4000人)が、よもや何も出来ないとはいえないはずです。
さらに、山林面積は上勝町で85%、馬路村に至っては96%です。90%が山林だという余呉町長の言い訳は、何の説得力もありません。
ただの山奥の村でしかなかったという地の利の悪さを覆し、今や日本で一、二を争う村になったこの二つの町村を見るに、琵琶湖の北湖という資源すらもみすみす反故にしようとする余呉町の姿は、あまりに惨めなものです。






<その他>
こんな指摘を見ると、日本は核兵器保有国となるための保険をかけているのではないか、ともいえます。

再処理工場 - Wikipedia
国際世論の変化
再処理工場を持つという事は、国際世論から核兵器開発疑惑を受けつづけることになる。IAEAの保障措置を受けていても、諸外国のマスメディアなどからは核兵器保有の可能性が高い国のトップとして日本はマークされている。

タテマエの経済性の主張だけを前に出し*1、大っぴらに公言していないだけで、「高レベル放射性廃棄物処理施設」は、実は日本が核武装する機会を待ち構えるために計画されているのかもしれません。


非核三原則も何もあったもんではありませんが、日本がアメリカの核の傘の下にある限り、実質的にそれが実現したことは一度も無いのも事実です。