「買い」は細部に宿る?

J-CAST ニュース : 三菱自動車eKワゴン」 意外な「苦戦」の理由
http://www.j-cast.com/2007/05/05007278.html

中身は同じ車なのに会社が違うだけで売れ行きが違うという話。
上のニュースでは、ターゲット購買層に対する宣伝方法が違っている=間違っているという話になっているが、何となくポイントはどうもそれ以前の話であるような気がする。


写真を見れば何となくわかってもらえるだろうか?(どっちも「ありがたい」フラッシュが多様されたサイトなので重いので注意(((って、マシンスペックが足りてないだけか?)))

<三菱:eKワゴン
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/ek_wagon/index.html

<日産:オッティ>(音がエンドレスで出るので注意)
http://www2.nissan.co.jp/OTTI/H92/0610/CONCEPT/main1.html


どちらも基本は、「四角い目がもたらすショボーンとした表情」となっている。
記事では、「eKワゴンとオッティの大きな違いはフロントグリル部分のデザインと内装色だけで、それほど見た目は変わらない。」といい、確かに違いは、その「目」の間のパネルデコレーションくらいしかない。


しかし、その違いこそが決定的なポイントではないのか。


売れているといわれる日産:オッティのほうは、まず、小さな四角を並べたデザインのフロントグリルで、「日産車」という統一イメージをもたらしている。
そこから、購買層には累積したCMイメージの軽快さ、親しみやすさがイメージされ、そのイメージどおりの宣伝広告がその印象を確かなものにしている。
一方、売れていないといわれる三菱:eKワゴンはというと、横一線のフロントグリルで、よく言えばシンプルでオーソドックスな、わるく言えば楽しくも明るくも見えない。
そもそも三菱がパジェロだのランエボだのトラックだのという男臭いクルマが主流なため、三菱車という統一イメージをひきずったデザインを「小さな子供を持つ主婦層」向けのクルマのデザインに転用にすると、どうしてもこのような「シケた男臭さ」になってしまうのだろう。


さらに、その企業イメージの部分をさておいて、よりデザイン的な面を分析しても同じことが言える。
垂れ目がち=両肩下がりに見えるライトに対して、間にどのようなラインを入れるかという問題である。
日産:オッティのほうは、それとは逆ベクトルのライン、両肩上がりの小さな四角を配置することで、垂れ目の弱さを打ち消し「オトボケ」感に昇華している。
一方、三菱:eKワゴンのほうは、両肩下がりのラインの間に水平線を入れてしまったことによって、まるで垂れ目を強調するかのような効果を生んでいる。つまり、表情をよけいにショボーンと曇らせるデザインになってしまっているのである。


そういうデザインを並べて、さあいざ女性向けに売り出したとしたら、そりゃもうどっちを選ぶか=どっちが選ばれるかなんて最初から決まっているようなものなんじゃないのか。


スライドドア機能というモノを売ろうとしても、もうダメなのだ。
イメージやあるいは使い方といった、もっとあいまいで抽象的で感覚的なものを売るしかないのが、後期資本主義社会の消費市場なのだ。