秋葉原無差別殺傷事件に関するオピニオン誌の反応まとめ

朝日新聞論座』2008年8月号
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=9524


反応なし

岩波書店『世界』2008年8月号
http://www.iwanami.co.jp/sekai/

緊急座談会
秋葉原事件は何を問うているのか
――若者の生きることと働くことをめぐって――
鎌田 慧/池田一慶/小林美希本田由紀

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 2008年6月8日正午過ぎ、日本のIT文化を代表する街・秋葉原で、通行人7人が犠牲になる通り魔事件が発生した。犯人は、トヨタ系列の自動車製造現場で、劣悪な労働条件のもと働かされていた派遣労働者だった。この事件を機に、派遣労働の実態への注目と関心が高まっている。若者のありかたに関心を寄せ、若者が人間らしくあることのできる働き方を作るために取り組んでいる4人が、再びこのような悲惨な事件が起きないようにするために何ができるのか、どうするべきなのかを語り合う。
かまた・さとし 1938年生まれ。ジャーナリスト。青森県出身。代表作に『自動車絶望工場』など著作多数。
いけだ・いっけい 1979年生まれ。ガテン系連帯共同代表。
こばやし・みき 1975年生まれ。労働経済ジャーナリスト。著書に『ルポ "正社員"の若者たち』(岩波書店) など。
ほんだ・ゆき 1964年生まれ。東京大学准教授。教育社会学。著書に『軋む社会』(双風舎)、『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版) など。

男の暴力
――秋葉原無差別殺傷事件に思うこと――
北原みのり

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 ほんとうに「誰でもいい」殺人が起こった。80年代までさかのぼってみてもこの国における「無差別殺人」の実態は「女子ども」殺人である。しかし秋葉原事件ではただそこにいた老若男女が襲われた。犯人の男は生活の不安、事件に至る経緯をケータイにつづっている。「格差社会」が原因なのか? しかしこうした暴力の爆発的発現を生むのはなぜ男なのか? なぜ男は「バカにされた」ことを引き金に、人を殺すのか?
きたはら・みのり 1970年生まれ。女性のためのセックスグッズストア「ラブピースクラブ」を経営。最近は人物評伝などを多く手がけている。主な著書に『はちみつバイブレーション』『フェミの嫌われ方』など。

中央公論新社中央公論』2008年8月号 第百二十三年第八号
http://www.chuko.co.jp/koron/

〈これは“思想事件”ではないか?〉
秋葉原事件を生み出した時代
“非正規”の怒りは臨界点に達した
 対談 佐藤 優 雨宮処凛

講談社『月刊 現代』2008年8月号
http://moura.jp/scoop-e/mgendai/

「臆病な殺人者」加藤智大と酒鬼薔薇聖斗−国家なき「内戦」が始まった | エキサイトニュース
http://www.excite.co.jp/News/magazine/MAG37/20080701/298/

文藝春秋文藝春秋』2008年8月号
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/index.htm

緊急寄稿 秋葉原通り魔事件
若者よ、殺人犯を英雄にするな 重松 清

文藝春秋『諸君!』2008年8月号
http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/

続発する猟奇・無差別殺人の〈免罪符〉
精神鑑定の暴走を許すな!
心神喪失」なら、あの通り魔も無罪なのか。このまま裁判員制度がスタートしたら……
佐木隆三(作家) 大谷昭宏(ジャーナリスト) 岩波 明(昭和大学医学部准教授) 宮崎哲弥(評論家)

秋葉原6・8
「コピー&ペースト」型大量殺戮の恐怖
欲求不満、悪いのはいつも他人――平等幻想社会が、紋切り型のひ弱なモンスターを生む
片田珠美(神戸親和女子大学教授・精神科医

PHP研究所『VOICE』2008年8月号
http://www.php.co.jp/magazine/voice/

特集Ⅱ・日本は二流国へ堕ちる!
秋葉原殺人犯」の痛んだ脳
岡田尊司

小学館『Sapio』7/23 7/23号
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/sol_magcode?sha=1&neoc=&zname=2300&keitai=0

好評連載
落合信彦『新世界大戦の時代』↓秋葉原無差別殺傷事件の加藤容疑者に告ぐ「お前は本当の不遇を知らない」

産經新聞『正論』2008年8月号
http://www.sankei.co.jp/seiron/wnews/0807/mokji.html


反応なし


<寸評>
きれいに掲載誌の政治的スタンスごとの違いが出たといえる。
リベラル/左翼派は、社会背景と労働環境についてを主に論じ、保守右翼派は、犯人の異常な精神と教育を主に論じている。
また、興味深いのは左右のいずれにも、「生物学的」な見地が紛れ込んでいることである。
曰く、「男性性がもたらした事件である」。曰く、「脳の発達の未熟がもたらした事件である」。
「価値中立的」な自然科学を持ち出せば、自らのイデオロギーの正統性が保証されるというのが、「心理学化した社会」の正体であろうか。
日頃、「フリーター論壇」などと揶揄される『論座』誌が反応を示していないのも興味深い。
これも廃刊路線のあおりであろうか?
あと、落合信彦がまだ活動したのを知って驚いた。
飛鳥昭雄が表に出なくなって久しいというのに……