すごいよ!!苅谷さん

たとえば、現在の中国や韓国の人たちが、日本の教科書問題に対して、なぜあのような反応をするのか。彼らが自国の国定教科書で繰り返し教え込まれることで形成された、国定の「正しい」歴史観を持つことによって、あのような事態が生じている。そう考えれば、冷静に対応できる。
他方、「日本人もそれに対抗する唯一の歴史観を持てばいい」ということになってしまえば、冷静さを失った歴史観の「正しさ」めぐる不毛な争いになってしまう。

苅谷剛彦氏(教育社会学) 4月15日(金)朝日新聞朝刊27面より

まさに、先に私が「セカイ系」として、指摘したことと同じことを言っているといえる。
自分の国で行われている「正しい」歴史教育を「絶対視」する姿勢が、結局のところ、意思の疎通を不可能にしてしまっているというわけだ。自分の主張だけが正しいというのであれば、そこにはコミュニケーションの余地は存在し得ない。
だからこそ、親中的、親韓的な「良識的日本人」は、こう言わざるを得なくなるのだ。
「日本は黙っておとなしくしているべきだ」と。
この歴史問題・領土問題に関しては、中国、韓国の主張に対して、日本が反論することはおろか、意見や見解を表明すること自体が、そもそも許されないような構造になっているのだ。
だがはたして、それが健全な国際関係だといえるだろうか?


もちろん、『新しい歴史教科書』だけが「正しい」のだとする姿勢もそれと同じくらい愚かなのであるが。