クローディアス(山浦徹)

一言評:悪役とは思えないナイスガイ。
さて、先述のハムレットが今ひとつだった結果、終始安定した演技・発声でいた、この本来、悪役・敵役の毒殺犯が、なんとも悪役に見えなくなるという影響を及ぼしてしまっていた。
元々の筋書きでは、「兄を毒殺してデンマーク王国をのっとって兄嫁をも奪った極悪人」なはずが、ハムレットが今ひとつなために、腹黒さが感じられず、「本気でハムレットの行状を心配するいい叔父さん」に見えてしまっていた。
とはいえ、それは本人にも原因がある。それはやはり発声の問題、抑揚のつけ方の問題だ。発声レベルが、常に強・強・強を基本にしているために、悪役の持つ「にじみ出る瘴気」のようなものが感じられず、変にさわやかに謀略をめぐらしている、という妙な印象を受けた。
ハムレットを殺そう!!(笑)」みたいな。