カースト制

では、そもそも「カースト制」とはいかなるものであったか。
この「スクールカースト」という言葉の問題を指摘するにあたっては、なによりもそれが重要な一歩となろう。

カースト〔名〕(英 caste ポルトガル語の「血統」「生まれ」の意のcastaに由来)《カスト》
①インド特有の社会身分。紀元前一〇〇〇年頃ガンジス川上流に定着したアーリア人が、司祭者をバラモン、王族をクシャトリヤ、庶民をバイシャ、征服された先住民をシュードラの四階級に分類したことに始まるが、現在は二千数百種に及ぶ。同一カーストに属する者は同じ信仰で結ばれ、部内結婚をし、同じ職業に従事し、食事などに一定の生活習慣を持って、内部的統制を行った。種姓。姓。
*人権新説(1882)〈加藤弘之〉一・三条「特に印度にて釈迦が彼カスト〈略〉の第一等なる波羅門の掌握せる幽顕二界の専権を非として」
*モダン用語辞典(1930)〈喜多壮一郎〉「カスト Caste 英 印度の階級制で〈略〉階級の一種であるが一寸異なってゐる。即ち階級であると一所属から他所属に移ることが出来るが、これは全く世襲的」
②社会的階級、地位。
*音引正解近代新用語辞典(1928)〈竹野長次・田中信澄〉「カスト Cait 英 階級、等級等の意」
*よき文学のために(1941)〈除村吉太郎〉「これは将来起るべき文学におけるカストの完全な廃滅への一つの重要な一歩であると考へる」
[発音]〈標ア〉[カ]


日本国語大辞典 第二版 より